海外の最新法規制・改訂情報を提供し事業者のコンプライアンス活動を支援

CA Japan/シーエージャパン<化学物質管理支援会社>

化学物質,海外法規制,Illuminator,海外向けSDS(MSDS),緊急電話サービス,CHEMTREC(ケムトレック),TSCA/REACH、CLP対応

<お気軽にお問合せください>

048-577-3325

営業時間:9:00~17:00、休業日:土日祝

メールアドレス:contact@ca-japan.co.jp

SDSとは

こちらではSDSについてご案内します。以前はMSDSと呼ばれていたSDSもだいぶ一般的に認知されるようになってきました。しかし、個人的には認知されているのはSDSという名称だけではないかと思っております。

以下に「そもそもSDSって?」を説明します。

SDS・ラベルに関するご相談はお気軽にご連絡ください。まずは無償の範囲でご相談に応じます。

SDS・ラベル、物質数量集計のほか、化学物質管理業務を軽減するツールの提案が可能です。

そもそもSDSとは?

SDSとは「Safety Data Sheet」の頭文字から呼ばれています。以前はこれに「Material」がついたMSDSと呼ばれていました。韓国ではいまだにMSDSとなっているように国によって若干違いがありますが、多くの国がGHSの導入時にSDSへ名称を変えました。

1970年代に一部の欧米企業が商習慣や化学工業会指導で自主的に作成提供を始めたのが始まりとされています。その後、米国では1985年にMSDSの義務化、EUでも1985年に「製造物責任に関する指令」で義務化(1993年までに各国で施行)されました。日本でも、1992年に日本化学工業協会がMSDSに関する指針を作成・公表し、1992年~1993年にかけて通商産業省、厚生省、労働省がMSDSに関する告示を策定・公表するなどの動きから始まりました。その後、1995年に「製造物責任法」が施行され、MSDSの提供が義務化されました。しかし、実際のところ多くの事業者の方がMSDSの作成義務に関して関心を持つようになったのは、2000年の労働安全衛生法改正や2001年の化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)の施行、毒物及び劇物取締法の改正からではないでしょうか。

そもそもは化学品を現場において安全に取扱うための情報として提供されるものです。化学物質個々の危険有害性だけでなく、製品(混合物)としての危険有害性を作業者に知らしめることで、化学品事故を未然に防ぐ目的があります。
法的にも先に触れたとおり、労働安全衛生法(安衛法)や毒物及び劇物取締法(毒劇法)、化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)でSDSの提供が求められます。(厳密に言えば別手段での情報提供で済む場合もあります。)

海外においてもSDS作成が必要となる化学物質規制があります。カナダでは1989年、オーストラリアでは1994年、韓国では1996年に制度化されていますし、その他多くの国がSDSの制度を導入しております。

適正に情報伝達ができて、化学品事故を未然に防ぐにはSDSは必要不可欠なとても重要な情報です。また、先に記載した毒劇法やPRTR法に該当する物質情報の伝達は、製品の保管や数量報告でも必要な情報元となります。

しかし昨今では、SDSがまるで「万能情報シート」のような位置づけでお考えになられる方も見受けられます。製造業の方が明かせない組成成分や含有率のみならず、PL法上の注意点や様々な付加情報の記載を求められていることも良く聞きます。また、全く危険性の無い製品についても「購買のルールだから」という理由でSDSの提供を求められるケースも耳にします。本来の目的とは離れてしまっている感があります。

ところが、記憶にまだ新しい「胆管がんの集団発生」や「膀胱がんの集団発生」については、原因となった化学物質の健康障害が明らかになるまでに長い期間を要するため見過ごされ、発がん性物質として指定されていなかったのです。(その後指定されました)
このような規制を受けていない化学物質が原因となった健康被害報告は意外と多くあります。したがって、すべての製品について危険有害性の伝達が求められるのは自然なことかと思います。

化学品事故、健康被害を出さないために、正しい情報を的確に伝達することが今できる最善の対策です。その情報伝達手段としてSDSがさらに活用されていくことになると思われます。それに伴い、SDSの要求頻度が高まっていくことでしょう。

SDSの基準って?

SDSは正しく情報伝達するために基準が設けられています。各国で工業会基準として定めているケースが多いですね。

日本では「JIS Z7253」、中国では「GB/T 16483-2008」、EUではご存じ「CLP」などです。GHSの基準と混同してしまうことがあるので、気を付けましょう。

日本のJISは2019年5月25日付で改正されました。最新は「JIS Z7253-2019」となります。猶予期間は2022年5月24日までです。

また、トルコのように有資格者が作成することを義務付けている国がありますので注意しましょう。

SDSの提供方法って?

SDSの提供方法は「手渡し」が基本です。実運用面では、メール送付やWebサイトからのダウンロード提供をしているケースが多いかと思いますが、SDSを提供する側が勝手に決めてはいけません。SDSを受け取る側(お客様)との合意が必要です。合意の上であればWebサイトからのダウンロードであっても、SDSを提供したこととなります。合意無くして「Webサイトで掲載してあるからSDSを提供したことになる」と判断することは危険です。万が一事故などが発生した場合に、SDSの提供方法が争点となる可能性があります。

SDSの目的に立ち戻り、「化学品を取り扱う際に発生する可能性がある事故を未然に防ぐ」ことを意識してください。実作業者にSDSが渡らなければ、SDSは意味を失います。

今後、ペーパーレス化がより進むと思われますが、「提供方法の合意」を忘れないようにしましょう。

PRTR法の改正において、メール送付やWebサイトでの公開等について相手方の承諾を得る必要が無くなりました。(2022年3月31日付官報)

労働安全衛生法の改正においても相手方の「承諾(合意)」は不要となる予定です。しかし、通知は行うようにしましょう。
⇒2022年5月31日の官報において「労働安全衛生労働安全衛生規則の一部改正告示」にて示されました。

毒劇法施行規則改正(2022年6月3日付官報)においても情報伝達について相手方の承諾は不要となりました。(通知は必要)

GHSは世界共通じゃないの?

2006年に日本から正式運用が始まったGHSGlobally Harmonized System of Classification and Labelling of Chemicals)も一般的に理解されるようになってきました。しかしこのGHSも言葉通りの「世界調和」になっていないのが実情です。国連勧告の位置付けであることから、各国の法規制に取り込まれる際に各国の判断で範囲や基準を決められるため、各国ごとの違いが生じています。また、2年ごとに改定されるGHSの適用版数が各国ごとに違いが見られるのも事実です。

現時点でGHSが導入されていない国やロシアのように独自分類基準を持つ国もあります。日本から輸出される際には輸出先の国がどのような状況なのかを把握しておく必要があります。

日本ではJISで定められており、最新の「JIS Z7252-2019」が2019年5月25日に発行されました。

海外向けSDSは英語じゃダメ?

弊社のホームページをご覧になられている方は海外への出荷がある又は関係している方が多いかと思います。

海外向けのSDS作成においてよくある質問を挙げてみましょう。

Q.海外向けのSDSは日本語で作ったものの英訳版で良いですか?

A.かなり以前は英語版があればそれで運用できた時代もありましたが、今は各国の基準に合った、各国言語でのSDS提供が求められます。

Q.ずいぶん前に作成したSDSを持っているのですが、これは使えますか?

A.保護具や漏出時の措置などは変更は少ないかもしれません。しかし、危険有害性評価がGHSになっている場合は、判断基準や使用データが違いますので、再評価しなければなりません。また法規制情報は日々更新されますので、古い情報を使うのは大きなリスクです。また、法律で更新が定められている国もあるので注意しましょう。

Q. 海外に出荷する際に出荷する側(日本側)でその国の制度に準じたSDSを作成しなけらばならないのでしょうか?

A. 各国制度や規制に準じたSDSは当該国の受け取り側(輸入者)の責任で用意しなければなりません。各国の規制はその国内において適用されるものがほとんどですので、輸入者が該当者となります。しかし、輸入者がSDSを作成するには製品の詳細情報が必要です。これには含有成分情報や含有率といった機密情報が含まれます。このような機密情報の漏洩を防ぐ目的で日本の事業者の多くが輸出国に適用したSDSの作成を実施しております。